和歌の技法:掛詞と縁語
掛詞とは、同音異義の2つの語句を重ねて用いることで、言葉の連想により世界を広げる技法です。また、縁語とは意味的に関連の深い語句を用いることで、言葉の連想により、味わい深いものにする技法です。
1番歌 天智天皇
仮庵が縮まって「かりほ」と読みます。
8番歌 喜撰法師
「しかぞすむ」はこのように住むという意味ですが、「鹿」と掛詞になっているという説があります。
9番歌 小野小町
10番歌 蝉丸
13番歌 陽成院
『小倉百首評釈 : 英独対訳』という書籍において「こひ」は水の古語又「戀」の義に亘れり。と説明されています。つまり「こひ」は「水」と「恋」の掛詞になっていると考えられます。
(参考図書:佐藤重治 (芝峰) 著『小倉百首評釈 : 英独対訳』,本郷書院,明37.12.
国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/872971 )
16番歌 中納言行平
19番歌 伊勢
20番歌 元良親王
澪標とは、座礁の危険性がある浅瀬おいて、比較的水深があって船の往来が可能であることを示す杭のことです。
22番歌 文屋朝康
嵐は山から吹き下ろす風を指しています。
24番歌 菅家
25番歌 三条右大臣
「さねかずら」はツル性植物なので「繰る」と縁語になっています。
27番歌 中納言兼輔
28番歌 源宗于朝臣
古典では「離る」を「かる」と読みます。
51番歌 藤原実方朝臣
「さしも草」とは、よもぎのことです。よもぎはお灸に使われるので、「もゆる」と「火」の縁語になっています。
55番歌 大納言公任
57番歌 紫式部
「月」は満ち欠けすることから「めぐる」と縁語になっています。
58番歌 大弐三位
60番歌 小式部内侍
橋板を踏みしめることから「踏み」と「橋」が縁語になっています。
62番歌 清少納言
67番歌 周防内侍
腕を「かいな」と読むことは、現代ではほとんどありませんが、伝統的な相撲の世界では「腕 を返す」という言葉が残っていて、現代でも相撲中継などで聞くことがあると思います。
72番歌 祐子内親王家紀伊
75番歌 藤原基俊
「おき」は露が降りるという関係で縁語となっています。
77番歌 崇徳院
80番歌 待賢門院堀河
88番歌 皇嘉門院別当
89番歌 式子内親王
91番歌 後京極摂政前太政大臣
「さむしろ」とはむしろのことで、藁などで作られた粗末な敷物のことです。「さ」は語調を整える接頭語です
95番歌 前大僧正慈円
96番歌 入道前太政大臣
97番歌 権中納言定家
98番歌 従二位家隆
「ならの小川」とは、上賀茂神社の境内を流れる御手洗みたらし川の別名です。「楢」は「楢の木」のことで、