時雨の百人一首

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日本語音声:NHKクリエイティブ・ライブラリー

Translated by WILLIAM N. PORTER
English Audio:LibriVox

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後京極摂政前太政大臣ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん

きりぎりす
くや霜夜しもよ
さむしろに
ころもかたしき
ひとりかも

後京極摂政前太政大臣
後京極摂政前太政大臣

I'M sleeping all alone, and hear The crickets round my head; So cold and frosty is the night, That I across the bed My koromo have spread.The Regent and Former Prime Minister
Go-kyo-goku

91番歌
きりぎりす くや霜夜しもよの さむしろに
ころもかたしき ひとりかも
作者:後京極摂政ごきょうごくせっしょうさきの太政大臣だじょうだいじん(1169年~1206年)
出典:新古今和歌集
現代語訳
こおろぎが鳴いている霜のおりる夜、寒いむしろの上に自分の衣だけを敷いて、私はひとり寂しく寝るのだろうか。
解説
この歌は、妻を亡くした九条良経が秋の夜を一人で寝る寂しさを詠んだものです。当時、男女が一緒に寝るときはお互いの着物を枕がわりにして寝ていたようで、「衣かたしき」は一人寝を意味していました。
どんな人?
後京極摂政前太政大臣(九条良経)は、法性寺入道前関白太政大臣の孫で、九条兼実の次男です。長男・良通が22歳で夭逝したため九条家を継ぎました。土御門天皇の摂政となり、従一位摂政太政大臣として絶頂期を迎えますが、その2年後に38歳の若さで父の兼実よりも早く亡くなってしまいました。寝室で急死したため、暗殺されたともいわれています。
語句・豆知識
きりぎりす
こおろぎが
鳴く
鳴いている
霜夜
霜が降りる夜の
さむしろ
むしろに
かたしき
自分の衣だけを敷いて
ひとり かも
ひとり寝るのだろうか
こおろぎの鳴き声

再生ボタンをクリックすると、こおろぎの鳴き声が再生されます。

音声:効果音ラボ
『詩経』の影響
中国最古の詩集『詩経しきょう』の中に次の一説があります。
良経は、この漢詩を踏まえて、作歌したと考えられます。

原文

十月蟋蟀しっしゅつ
入我牀下しゅうか 『詩経』

現代語訳

十月に入ると、蟋蟀こおろぎ
私の寝床の下に入る

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