時雨の百人一首

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※音声:NHKクリエイティブ・ライブラリー

語句・豆知識
うつりにけりな
色あせてしまったのだなあ
「うつる」は、色あせるという意味。
いたずらに
無駄に、むなしく
よにふる
この世を生きてという意味。「ふる」は過ごすという意味の「経る」と雨が降るの「降る」の掛詞になっています。
ながめせしまに
「ながめ」は(物思いにふけりながら)ぼんやりと見ていることと「長雨」の掛詞になっています。
小野小町の系図
小野小町の系図

小野氏は飛鳥時代から平安時代にかけて活躍しました。
飛鳥時代に遣隋使の大使を務めた小野妹子は聖徳太子が書いた「日出処天子」の国書を隋の皇帝に渡したことで知られています。

六歌仙
小野小町は六歌仙の1人。紀貫之が古今和歌集「仮名序」で「近き世に、その名聞こえたる人」(紀貫之から見て一世代前の高名な歌人)として取り上げられた6名の歌人の内の1人です。「仮名序」では辛口の論評を受けていますが、後の時代に六歌仙として崇められるようになりました。六歌仙の一覧ページはこちらをご覧ください。
三十六歌仙
小野小町は三十六歌仙の1人。平安時代中期の公卿:藤原公任(55番)が編纂した歌合形式の秀歌撰『三十六人撰』に収められた36名の歌人は三十六歌仙と呼ばれています。 三十六歌仙の一覧ページはこちらをご覧ください。
在原業平の歌
在原業平も「ながめ」を掛詞にした歌を詠んでいます。

原文

起きもせず 寝もせでよるを 明かしては
春のものとて ながめくらしつ

現代語訳

あなたを思うと起きるでもなく、寝るでもなく夜を明かしては春の習いである長雨を物思いに沈みながら暮らしています。
美女伝説のきっかけ
六歌仙ろっかせん に紅一点で名前を連ねる小野小町。紀貫之は古今和歌集の仮名序で小町を次のように評しています。この評価がきっかけで小町には多くの美女伝説が創作されたと考えられています。

原文

小野小町は、いにしへの衣通姫そとおりひめの流なり。あはれなるやうにて強からず。いはば、よき女のなやめるところあるに似たり。

現代語訳

小野小町は衣通姫そとおりひめの歌風を汲み、しみじみとした風情があるが強さがない。言わば美女が悩んでいるところがあるのに似ている。
衣通姫(そとおりひめ)
古事記と日本書紀に記されている伝説の美女。美しさが衣を通して光り輝いたと言われています。
百夜通い(ももよがよい)
世阿弥が中心になって創作した小野小町の有名な美女伝説。深草少将という人物が小野小町に熱心に求愛しますが、小野小町はあきらめてほしいと考えていました。そこで、小町は深草少将に百夜通い続けたら受け入れると伝えます。深草少将は毎夜通いますが、99日目に大雪により凍死しました。
文屋康秀への歌
三河国に赴任することになった文屋康秀(22番)から一緒に行きましょうと誘われたときに小町は次の歌を詠みました。ただし、実際に小町が同行したかはわかっていません。

原文

わびぬれば 身を浮草の 根を絶えて
誘ふ水あらば いなむとぞ思ふ

現代語訳

悩み苦しんでいるので浮草のように根を断って
誘っていただける人があるならば行こうと思います。
あきたこまち
秋田県生まれの小野小町にちなんで名付けられた「あきたこまち」というお米の銘柄があります。
随心院
随心院
写真提供:京都フリー写真素材

京都市山科区にあるお寺。小野小町が晩年を過ごしたと言われています。地図へのリンク

葛飾北斎による浮世絵
葛飾北斎による木版画
National Diet Library, Public domain, via Wikimedia Commons

江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎による作品『百人一首姥かゑとき』です。百人一首の歌を乳母がわかりやすく絵で説明するという趣旨で制作されたものです。小町は晩年、放浪の旅に出たと言われています。杖をつきながら桜を見上げる女性はひょっとして小野小町でしょうか。

歌川国芳の『百人一首之内』
歌川国芳による小野小町の浮世絵
British Museum, Public domain, via Wikimedia Commons

江戸時代の浮世絵師・歌川国芳による浮世絵です。
百人一首の和歌に合わせた情景が描かれています。

九相図(くそうず)
  • 九相図_01
  • 九相図_02
  • 九相図_03
  • 九相図_04
  • 九相図_05
  • 九相図_06
  • 九相図_07
  • 九相図_08
  • 九相図_09

屋外に置かれた死体が朽ちていく様子を九段階に分けて描かれる仏教絵画「九相図」。美女だった人たちが題材に選ばれることが多く、小野小町の九相図はよく知られています。九相図の制作目的は修行僧が煩悩を払うためにどんな美女でも亡くなったら髑髏になるという現世の無常を示すためと言われています。
See page for author, CC BY 4.0 , via Wikimedia Commons

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