時雨の百人一首

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和歌の技法:序詞

序詞とは、言いたい言葉を導き出すために前置きとして用いられる言葉のことです。導き出す言葉を修飾し、歌のイメージを具体的にします。決まった言葉を使う枕詞とは違い、序詞は歌人が独自に作成します。また、枕詞は5文字ですが、序詞は7文字以上で構成されます。序詞は次の3種類に分類されます。

  • 比喩によるもの
  • 掛詞によるもの
  • 同音の繰り返しによるもの

3番歌 柿本人麻呂

柿本人麻呂の和歌の序詞

「ながながし夜」を山鳥の垂れ下がった尾羽のようにと比喩で表現しています。

13番歌 陽成院

陽成院の和歌の掛詞

「恋」と「水」の掛詞である「こひ」を導いています。

14番歌 河原左大臣

河原左大臣の和歌の序詞

「乱れ」を陸奥のしのぶもぢずりの染め模様のようにと比喩で表現しています。

18番歌 藤原敏行朝臣

藤原敏行朝臣の和歌の序詞

「寄る」と「夜」の音を重ねています。

19番歌 伊勢

伊勢の和歌の序詞

「節と節の間」のような「わずかな時間」という掛詞を導いています。

27番歌 中納言兼輔

中納言兼輔の和歌の序詞

「いずみ」と「いつみ」の音を重ねています。

39番歌 参議等

参議等の和歌の序詞

「篠」と「忍」の音を重ねています。

46番歌 曽禰好忠

曽禰好忠の和歌の序詞

「行方を知れない」を由良の河口を渡る船人が櫂をなくして漂うようにと比喩で表現しています。

48番歌 源重之

源重之の和歌の序詞

「おのれのみ」を風が激しく、岩に打ちつける波のようにと比喩で表現しています。

49番歌 大中臣能宣朝臣

大中臣能宣朝臣の和歌の序詞

「夜はもえ」を御垣守である衛士が焚く火のようにと比喩で表現しています。

51番歌 藤原実方朝臣

藤原実方朝臣の和歌の序詞

「さしも」という音を重ねています。

77番歌 崇徳院

崇徳院の和歌の序詞

「あなたと別れてもいつかはまた会いたい」という気持ちを川瀬の流れが早いので、岩にせきとめられた滝川が割れてもまた合わさるようにと比喩で表現しています。

88番歌 皇嘉門院別当

皇嘉門院別当の和歌の序詞

「刈り根」と「仮り寝」の掛詞である「かりね」を導いています。

92番歌 二条院讃岐

二条院讃岐の和歌の序詞

「人知れずわたしの袖は乾く暇もない」という表現を「引き潮の時でさえ姿を見せない沖の石のように」と比喩で表現しています。

97番歌 権中納言定家

権中納言定家の和歌の序詞

焦がれる気持ちを夕凪どきに松帆の浦で焼かれる海藻のようにと比喩で表現しています。

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