日本語音声:NHKクリエイティブ・ライブラリー
Translated by WILLIAM N. PORTER
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平兼盛
忍ぶれど
色に出でにけり
我が恋は
物や思ふと
人の問ふまで
ALAS! the blush upon my cheek, Conceal it as I may, Proclaims to all that I'm in love, Till people smile and say— 'Where are thy thoughts to-day?'Kanemori Taira
- 40番歌
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忍ぶれど
色に出でにけり
我が恋は
物や思ふと 人の問ふまで
作者:平兼盛(生年不詳~990年)
出典:拾遺和歌集 恋
- 現代語訳
- 気づかれないように恋心を秘めてきましたが、顔色に出てしまった。人から物思いをしているのではないかと聞かれるまでに。
- 解説
- この歌は、「天徳内裏歌合」で「未逢恋」(未だ逢わざる恋)というお題に沿って詠まれました。壬生忠見の歌と接戦になりました。しかし、村上天皇が「しのぶれど~」と歌いながら口ずさんでいたことが影響し、平兼盛の歌が勝利に決まったと伝えられています。
- どんな人?
- 平兼盛は、光孝天皇の玄孫でしたが、臣籍降下し、平氏を名乗りました。平清盛と名前が似ていますが、武士の平家とは関係ありません。『栄華物語』の作者として知られる赤染衛門の父だという説がありますが、その真偽ははっきりしていません。
- 語句・豆知識
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- 忍ぶれ ど
- 我慢していたけれども
- 色 に 出で に けり
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表情に出てしまった
完了の助動詞「に」+過去の助動詞「けり」で「~てしまった」又は「~た」と訳します。 - わ が 恋 は
- 私の恋は
- もの や 思ふ と
- 恋の物思いをしているのかと
- 人 の 問ふ まで
- 人が問いかけるまで
- 平兼盛の系図
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系図集『尊卑分脈』によると平兼盛は光孝天皇の玄孫といわれています。興我王の子女は平の姓を与えられて臣籍降下しました。
平兼盛は「天徳四年内裏歌合」で壬生忠見と競い合い、接戦でしたが、村上天皇が「忍ぶれど…」と口ずさんでいたことから勝ちの判定になりました。
赤染衛門は母親の再婚相手・赤染時用との間にもうけられた子とされていますが、妊娠してから再婚したともいわれており、平兼盛は赤染衛門の実父ではないかといわれています。
- 歌川国芳の『百人一首之内』
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江戸時代の浮世絵師・歌川国芳による浮世絵です。
百人一首の和歌に合わせた情景が描かれています。 - 三十六歌仙
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平兼盛は三十六歌仙の1人。
三十六歌仙の一覧ページはこちらをご覧ください。
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