日本語音声:NHKクリエイティブ・ライブラリー
Translated by WILLIAM N. PORTER
English Audio:LibriVox
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音声
Audio
猿丸太夫
奥山に
紅葉踏み分け
鳴く鹿の
声聞く時ぞ
秋はかなしき
HEAR the stag's pathetic call Far up the mountain side, While tramping o'er the maple leaves Wind-scattered far and wide This sad, sad autumn tide.Saru Maru, A Shinto Official
- 5番歌
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奥山に
紅葉踏み分け
鳴く鹿の
声聞く時ぞ 秋はかなしき
作者:猿丸太夫(生没年不詳)
出典:古今和歌集 秋
- 現代語訳
- 人里離れた奥山に紅葉を踏み分け入っていくと、鹿の鳴き声が響く。その声を聞くとき、秋はひとしお悲しく感じられる。
- 解説
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『古今和歌集』の詞書に「是貞の皇子の家の歌合の歌」とあり、この歌は、光孝天皇の皇子である是貞親王の家で行われた歌合で詠まれたものです。秋は鹿の発情期で、雄鹿は雌鹿を探して「フィーヨー」と独特の高い声で鳴きます。この悲しげな鳴き声は、秋の深まりと物寂しさを感じさせる季節の風物詩だったようです。
YouTubeに野生動物の写真家の方が撮影された雄鹿の鳴き声が聞ける動画があります。貴重な動画なのでぜひご覧ください。
- どんな人?
- 猿丸太夫は、生没年や生涯が一切記録されておらず、伝説上の歌人であるといわれています。
- 語句・豆知識
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- 奥山 に
- 人里から離れた奥深い山に
- 紅葉 踏み分け 鳴く 鹿 の
- 紅葉を踏み分けて鳴く鹿の
- 声 聞く とき ぞ 秋 は かなしき
- 声を聞くときは、秋はとりわけ悲しく感じられる
- 紅葉と鹿
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花札の十月のデザインは「紅葉と鹿」の組み合わせです。
この景物の組み合わせは鉄板で、多くの和歌に詠まれています。 - 鹿の鳴き声を詠んだ歌
- 鹿の鳴く声は秋の景物としてよく詠まれています。
原文
秋萩を しがらみふせて 鳴く鹿の
目には見えずて 音のさやけさ 『古今和歌集』詠み人知らず現代語訳
秋萩がからむのを倒して鳴く鹿の姿は見えないけれども、鳴き声ははっきりと聞こえる。
原文
山里は 秋こそことに わびしけれ
鹿の鳴く音に 目を覚ましつつ 『古今和歌集』壬生忠岑現代語訳
秋深まる山里は、ひときわわびしさが胸にしみる。
鹿の鳴き声に幾度も目を覚まし、眠れぬ夜を過ごしている。 - 鹿鳴草(萩)
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萩は「鹿鳴草」という別名があります。
雄鹿が鳴く頃(6月頃)に咲くことが名前の由来ではといわれています。 - 葛飾北斎による浮世絵
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江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎による作品『百人一首姥かゑとき』です。 百人一首の歌を乳母がわかりやすく絵で説明するという趣旨で制作されたものです。
山の頂上に鹿がいて、左から5番目の左手に熊手を持つ人物は鹿のいる方向を指差す仕草をしています。
画像はクリックすると拡大表示されます。 - 歌川国芳の『百人一首之内』
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江戸時代の浮世絵師・歌川国芳による浮世絵です。
百人一首の和歌に合わせた情景が描かれています。山の中腹に鹿が描かれています。
画像はクリックすると拡大表示されます。 - 三十六歌仙
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猿丸太夫は三十六歌仙の1人。
三十六歌仙の一覧ページはこちらをご覧ください。
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