絵札
取り札
音声
※音声:NHKクリエイティブ・ライブラリー
- 語句・豆知識
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- 夏来にけらし
- 夏が来たらしい
- 白妙の
- 衣服や白いものにかかる枕詞。この歌では「衣」にかかっています。
「白妙」は楮など木の皮の繊維で織った白い布のこと。 - 衣ほすてふ
- 衣を干すという
「てふ」は「~という」が縮まったものです。 - 天の香久山
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写真:photoAC 香具山は天から下りてきた伝説があります。
民家の背景にあるなだらかな山が香久山です。
地図へのリンク - 持統天皇の系図
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持統天皇は天智天皇(2番)の娘です。
天智天皇の死後、皇統をめぐり壬申の乱が勃発。
持統天皇は夫・大海人皇子(天武天皇)と共に
弘文天皇(大友皇子)率いる朝廷軍と戦い勝利しました。 - 藤原宮と大和三山
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画像:Google Earthを元に作成 香具山(標高152m)・耳成山 (標高140m)・畝傍山 (標高199m)で大和三山と呼ばれており、奈良県橿原市にあります。藤原宮はこれらの山に囲まれていました。
- 藤原京
- 奈良県橿原市と明日香村にかかる地域にあった飛鳥時代の都城。条坊制と呼ばれる碁盤目状の都市区画が日本で初めて採用され、壮大な都でしたが、完成から約15年後の710年に平城京に遷都されると、藤原京のあった地域は水田になり、藤原京はその規模さえ不明になってしまいました。藤原京の規模が明らかになったのは1990年代のことです。
- 鈴木春信による浮世絵
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東京国立博物館提供 江戸時代の浮世絵師:鈴木春信による作品です。持統天皇の百人一首の歌を江戸の風俗に置き換えて描かれています。
夏物の白い衣が干されており、江戸時代の夏の到来を表しています。桶の水が濁っていますが、当時は灰を水に混ぜてできるアルカリ性の水「灰水」を使って洗濯していたそうです。下駄に腰を掛けている様子がユーモラスです。 - 葛飾北斎による浮世絵
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Katsushika Hokusai, CC0, via Wikimedia Commons 江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎による作品『百人一首姥かゑとき』です。百人一首の歌を乳母がわかりやすく絵で説明するという趣旨で制作されたものです。川で洗濯したと思われる衣類を山に運ぶ人夫の姿が描かれています。濡れた衣をわざわざ山に干しにいくのは手間のかかることです。天の香久山は神聖視された山のため、何かしらの神事のためと思われますが、詳細はわかっていません。
- 歌川国芳の『百人一首之内』
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British Museum, Public domain, via Wikimedia Commons 江戸時代の浮世絵師・歌川国芳による浮世絵です。
百人一首の和歌に合わせた情景が描かれています。
絵の香久山はごつごつとした感じでそびえ立っていますが、実際の香久山はなだらかな稜線で標高152mの低い山です。
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