日本語音声:NHKクリエイティブ・ライブラリー
Translated by WILLIAM N. PORTER
English Audio:LibriVox
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道因法師
思ひわび
さても命は
あるものを
憂きにたへぬは
涙なりけり
How sad and gloomy is the world, This world of sin and woe! Ah! while I drift along Life's stream, Tossed helpless to and fro, My tears will ever flow.The Priest Do-in
- 82番歌
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思ひわび
さても命は
あるものを
憂きにたへぬは 涙なりけり
作者:道因法師(1090年~没年不詳)
出典:千載和歌集 恋
- 現代語訳
- 嘆き悲しんでいながらも、堪えて生きているのに、辛い思いにこぼれ落ちるもろい涙であったよ。
- 解説
- この歌は、恋人の冷たさに嘆き、失恋の苦しみを表現しています。涙を抑えきれずに心が揺れる中でも、最終的には生きていかなければならないという作者の人生観がにじみ出ています。
- どんな人?
- 道因法師こと、藤原敦頼は宮中の馬を飼育管理する「右馬助」と呼ばれる役人を務めて従五位上に至りました。「良い歌を詠みたい」との願いから、70歳か80歳になるまで、毎月京都から大阪の住吉大社へ徒歩でお参りしていました。80歳を過ぎて出家しますが、90歳を過ぎても歌会に出席し、講評を熱心に聞くなど、歌道に邁進したと伝えられています。
- 語句・豆知識
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- 思ひわび
- 物思いに悩み
- さても
- それでも
- 命 は ある ものを
- 命はあるのだけれども
- 憂き に たへ ぬ は
- つらいことに耐えられないのは
- 涙 なり けり
- 涙であるのだなあ
- 『無名抄』に記された道因法師
- 鴨長明が著した歌論書『無名抄』には、和歌に熱心だった道因法師のエピソードが書かれています。
道因法師は70か80歳になるまで「秀歌を詠ませたへ」と和歌の神様を祀る大阪にある住吉大社まで毎月徒歩で参詣したようです。また、耳が遠くなると、歌合の際、歌を読み上げる講師の傍に座り、熱心に耳を傾けました。僧侶でありながらも勝ち負けに執着し、歌合で負けると、後で判者の家を訪れて、まめやかに泣いたとあります。さらに『無名抄』には道因法師が亡くなった後のことまで書かれてあり、藤原俊成が『千載和歌集』に道因法師の歌を18首採ると、夢に現れ泣いて喜んだとされ、俊成は2首追加し、道因法師の歌を合計20首入撰させたと記されています。 - 歌川国芳の『百人一首之内』
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江戸時代の浮世絵師・歌川国芳による浮世絵です。
百人一首の和歌に合わせた情景が描かれています。
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