音声:NHKクリエイティブ・ライブラリー
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Translated by WILLIAM N. PORTER
English Audio:LibriVox
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源兼昌
                淡路島
                
かよふ千鳥の
                
鳴く声に
                
幾夜寝覚めぬ
                
須磨の関守
              
              いくよねさ
めぬすまの
せきもり
あわぢ
- 78番歌
- 
            淡路島 
            かよふ千鳥の 
            鳴く声に
            
 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守
 作者:源兼昌(生没年不詳)
 出典:金葉和歌集 冬
- 現代語訳
- 淡路島から渡ってくる千鳥が鳴く声に、須磨の関守は幾夜目を覚ませられただろう。
- 解説
- 『金葉和歌集』の詞書には「関路千島といへることをよめる」とあり、この歌は「関路の千鳥」というお題を与えられて詠まれたものです。須磨は源氏物語の舞台になっており、官位を失い、年老いた光源氏が罪を逃れて隠棲した土地でした。物語では、光源氏が千鳥の鳴き声を聞いて、独り寝の寂しさを歌に詠んおり、この歌は、その光源氏の歌を踏まえて作歌されたと考えられます。
- どんな人?
- 源兼昌は、宇多天皇の末裔でありながら、官位は従五位下にとどまり微官に終わりました。しかし、歌人としてその才能を発揮しました。鳥羽天皇の勅命で編纂された『永久百首』にも出詠しています。
- 語句・豆知識
- 
          - 淡路島
- 淡路島
- 通ふ 千鳥 の
- 通ってくる千鳥が
- 鳴く 声 に
- 鳴く声によって
- 幾夜 寝覚め ぬ
- 幾夜目を覚ましただろうか
- 須磨 の 関守
- 須磨の関所の番人は
- 源兼昌の系図
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                源兼昌は宇多源氏の末裔です。 父・源俊輔は、美濃守を務めていました。 
 兼昌の最終官位は、皇后宮少進・従五位下です。
- 千鳥の鳴き声
- 次の音声は須磨で録音されたものではありません。海辺の鳥の鳴き声です。
              
- 光源氏の歌
- 光源氏が須磨で千鳥の鳴き声を聞いて、独り寝の寂しさを詠んだ歌です。
              原文友千鳥 諸声になく 暁は
 ひとり寝覚めの 床も頼もし 『源氏物語』光源氏現代語訳千鳥の群れが私と一緒になく明け方は、 
 ひとり寂しく目覚める床を心強く思わせてくれる。
- 歌川国芳の『百人一首之内』
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                British Museum, Public domain, via Wikimedia Commons 江戸時代の浮世絵師・歌川国芳による浮世絵です。 
 百人一首の和歌に合わせた情景が描かれています。
 
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